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ポアンカレ

2007.10.23

昨日NHKスペシャルで放送された数学者の話が、面白くて、泣けて、久々に堪能した。実は見たのは、帰宅途中に寄ったスーパーの展示テレビなんだけど、おもしろくて番組終了までかぶりつきで見てしまった。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/071022.html

100年の難問と言われ、数学者の興味を引いてやまない「ポアンカレ予想」。見所はそれをとりまく数学者のドラマ。

問題の内容はさっぱりだけど「証明できたら1億円プレゼント」とか、とにかく話題になってたのは覚えてた。この証明に関するドラマが面白いのはその証明が進んでいく順番。さらに、最後に残った最大の難関をついに証明した!という2002年。証明したというのが謎のロシア人で!どう謎かというと、

・証明はネットのサイトにアップしただけ (普通、学術論文は専門の論文雑誌に投稿するもの)
・本人が変人らしくて表舞台に全く出てこないこと(フィールズ賞すら辞退した)

その話は噂に聞いていたものの、本人がとにかく表に出てこないのだから、どんな人なのかニュースとかでも知ることができなくて。
そこにNHKの取材スタッフが挑んでいく・・・
最初は明るい好青年?だったのがアメリカに行ってちょっと変わってって世捨て人になっていく過程とか、詳細は分からないけれど、泣ける。

で、2002年に論文がアップされたのはいいのだけど、その証明が正しいの間違っているのか、世の中の数学者はなかなか判断できなくて、ぽつり、ぽつり、と、どうも正しいらしい、、という話が出てきて3年ぐらい経ってやっと、かなり正しいという結論になったのだとか。そして、2006年のscienceの年間科学成果トップ10が発表されたとき、堂々1位に選ばれたのがこの証明。それだけのインパクトがあったんだねえ。

数学者のドラマって、なんでかしらないけど激しいよなあ。ナッシュとかチューリングとか。数学の世界にはまって、いわゆる廃人になる人って、他の学問ジャンルと比較して多いのかも…。

関係ないけど、登場する数学者の一人が超でかいタブレットを使ってた!(描画領域A3サイズのやつ)トポロジーの人は絵描きなんだなーとは思うけど…そのサイズはいらんだろうw

10/24(水)の深夜12:20から再放送があるらしいから見るといいよ!

19:50 [Comment:4]

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ねこみ 2007.10.25-07:58 Edit

BSで見てて、もっかい見たけどやっぱり面白かった。
そいや、むかしナナメ読みした、フェルマの定理の時の数学者まわりのドキュメンタリみたいな本も面白かったな~。
なんつ~か、思索の世界でデッドヒートしてると、人間不信になるんかな。特に、ゴールが見えてくると。
でも、たぶん、なんか、研究所かなんかに勤務してんだよね??
自分でHTML書いて(?)アップしたんだよね???
どこがヘンで、どこが壊れてて、どこが生きてるのか、そのあたりがよく分からんかった。
せめて、同僚の話ぐらいは欲しいと思ったんだけど。

しかし、トポロジー業界の面目丸つぶれだと思うのだけど、そのあたりはどうだったんだろう?

とし URL 2007.10.28-03:54 Edit

おひさしぶりです。


僕も観てました。
なんかその人の気持ちがちょっとだけ解かっちゃった気分になっちゃいました。


多分、お金や名声のために数学やったんじゃないから、よけいにそうなるんでしょうね。
ヤじゃないですか、それが為にキャーキャー騒がれるなんて…。


芽どころか、才能ってどっかあんの?ってリアルの方で言われたことがある身で共感してる自分もヘンですが…苦w

ko-wa 2007.10.30-21:14 Edit

>ねこみさ
フェルマーの最終定理の本(サイモン・シン著)が面白いらしいですね!他の方からも勧めてもらったんで、発注してみました。この本は読んだことがなかったので楽しみっす。

思索の世界というか、思考力がすべてで、偶然の要素が少ない研究は大変だろうなと思う。麻雀と比較して、囲碁や将棋みたいに勝ち負けがおそろしく絶対的なのだろうな。特に数学では、勝ちの絶対感が半端じゃない。そんな体験を通じて「オカシク」なっちゃった人は少なくないだろうけど、まあこのロシア人、ペレルマンは特例だと思う。

ネットにアップしてた論文は、テレビを見る限りでは、論文形式に整形したPDFファイルだったみたいですね。数学系の論文投稿サイトみたいなのがあるらしいです。

トポロジー・・私はよく知らないけれど、分子構造とかネットワーク構造とかの理論的理解に役立ったりしているんだし、面目丸つぶれってことは無いと思う。数学上の重大な問題はポアンカレ予想だけじゃないし。もちろん、競争で敗れたというのは事実。将来的にトポロジーのみで証明がなされるかもしれないけど、スピード競争では負けたのだからねえ。こればっかりは仕方がない。敗者には何も与えられない、です。


>としさん
本人はどんな精神状態だったんでしょうねえ。
おそらくすごく満ち足りた気分を味わったのかなあ、もう欲がすべて無くなってるのかなあとか。数年間にわたって、孤独に研究を進めていたせいで、普通に社会との接点などを持つ習慣がなくなっているのだろうし。

数学的才能っていうのは、なんなんでしょうね。ちょっと他の世界での才能とは全く違う気がします。

catbird Mail 2007.11.22-01:15 Edit

ポアンカレ予想は『地球からロープを付けロケットに乗り、宇宙を旅行し地球に帰った時、ロープの両端がある。そのロープの両端を離さないで、ロープを引き寄せられた時、この宇宙はおおむね丸いと言えるか。』という問題です。これは3次元閉多様体(3次元の縁の無い一枚の面)の中で、球体以外にロープの引っ掛らない形があるかと言う問題です。3次元閉多面体は、一つの輪を移動させ始めの位置に戻すことで作れます。輪には3つの形があります。○(丸形)・∞(無限大形)・◎(文字が無い為便宜上◎を使用する=一筆書きで二重丸を書いた形)です。輪の動かし方は①輪が左右対称になる様な軸を取り、その軸を中心に回転させ元の輪の位置に戻す方法、(○の輪の場合球体。)②輪を外の点を中心として、一回転させ元の位置に戻す方法、(○の輪の場合、ドーナツ形。◎の輪の場合は、ドーナツの内側に穴に沿ってもう1つドーナツのある様な形。∞の輪の場合はドーナツの外側に穴に沿ってもう1つドーナツのある様な形。)③輪を輪の外の点を中心として、半回転させ、途中で引き返し、元の輪の位置に戻る方法、(○の輪の場合、ホースの口と口を同じ方向に向けて合わせた形=クラインの壷になります)です。ただ途中の動かし方が②③には3種類あります。②は前記方法と、回転の途中で引き返しながら大きくし、進みながら小さくして元の位置に戻す方法(ドーナツの外側にもう1つのドーナツが縦の切り口に沿ってある様な形)、逆に途中で輪を引き返しながら小さくし、また戻りながら大きくして元の位置に戻す方法(ドーナツの内側に縦の切り口に沿ってもう1つのドーナツがある様な形)です。③は、移動の途中に②の場合と同じ動きを入れる方法です。クラインの壷の途中に(内も外も連続しており同じ)、縦の切り口に沿ってもう1つのドーナツがある様な形になります。以上8種類の形があります。そして、ロープを回収できるのは球体のみです。