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国際協力と透明性

2013.09.08

ちょっといつもとは違う内容の記事を書きます。

NatureのEditorialsにこんな記事があった。要約は次の通り:
「貯水タンクはtime bomb状態」、当初の報告から18倍も大量に漏洩してた。もはや東電からの報告自体の信頼性が揺らいでいる。政府の介入は適正な判断だが遅すぎる。国際的な協力が必要だ。
http://www.nature.com/news/nuclear-error-1.13667

福島の沈静化には国際的な協力が不可欠だっていう主張には、複数の意味がある。英米仏ロシアからのエキスパートの協力という技術的側面と、一国だとどうしても生じるアイディアの狭さの克服、そして最も重要なのが、各国の説明担当者というメディアとしての存在だ。例えば韓国、中国からのメンバーも入れるべきで、その国からの説明者は貿易や観光の判断に重要な影響をもたらすだろう。短期的には五輪招致やTPPに影響力がある国の人も入れるべきだったかもしれない。(無事五輪は東京に決まりましたね)。

例えば中国で問題になる汚染食品問題、あの国の政府が「調査した。安全だ」と言ったところで、日本に住むあなたは信頼して安心するだろうか?おそらく疑念が残る。中国とは独立に日本国内で検査して安全性を知りたいと思うだろう。これが難しいとしても、仮に中国での調査委員会に日本人のエキスパートが含まれていて、安全性の報告会でその日本人が日本語で内容を報告したら、どうだろうか。多少信頼性は上がるだろうし、質疑応答も中国人ではなく、その日本人に尋ねるようになるだろう。そしてその日本人が中国政府に買収されていないかとか、エキスパートとして十分な素質を持っているだろうかとか、厳しくまともな報道が行われるはずだ。少なくとも中国政府の発表に対して「あの国は信用できないから信頼しない」という、思考停止には陥らないはずだ。これが「国際協力」だとか「透明性の確保」の真の意味なのだと思う。

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