うまく説明できるかどうか、わかんないけど書いてみる。
絵が上手く描けているときの気分
絵をどうやって描くか、という手法や動作を意識から消し去って、
絵の向こうにある、なにかもわもわしたイメージや感情を
無意識に書き写すような状態になると上手く描けるみたいだ。
さあ、こういう形を書こう、だとか絵のことを考えて絵を描いてしまったり、
途中まで描いているその絵を見ながら、付け加えるように絵を描いてしまうと、
上手く描けないっぽい。
ペン入れ清書すると、ラフ絵の勢いや感情が失われるっていう現象。
これも似た理由だと思う。
そのためには、絵を描く手の動作を、ほとんど無意識に自由に行える必要があって、
そうすれば、意識のリソースを「想像」する部分に集中させることができて
自由に絵が描けるのだと思う。
そうなるための訓練が、絵の練習の一つなんだと思う。
高い精度で線や形を描くこと、
長いストロークやスムーズな筆圧コントロール。
絵の解像度が上がるに従って、
要求される動作はどんどん難しくなっていくけど、
そんな動きも全部、無意識でできるようになるまでトレーニングする必要があるんだろう。
何か伝えたいことが具体的に脳内に思い付いて、
それをウワーーーっと描ければいいのだし、
説明図だとか、シナリオが進んでいく漫画の絵とかも、
絵の向こうにある伝えたい事がはっきりあるので描きやすい。
そしてその点、単発イラストは難しい。
仕込みネタもない、エロでもない、絵。
すると価値観は「きれいで上手な絵を描きたいな」とか絵のことだけになる。
そう思って描き始めると非常に良くない。
もちろん、
絵の解像度を上げるための練習としての絵としてなら、いいと思う
ただ
人に見せるアウトプットとしての絵ならば、
自分が自由に描けるクオリティの範囲で、無理せず
脳内のイメージや感情を優先させた描き方をすべきなんだろう。
きっとこれは、
楽器を演奏するときも
体を動かすスポーツもダンスも
言葉を喋るときも
文字を書くときも
似ているんだろうなあ。
絵が描けないときの気分。
何で絵の練習なんてしているんだろう。
絵が上手くなりたいと思うのは何でなんだろう。
ていうか、なんで上手い絵を描かないといけないのだろう？
絵が上手くなっても、絵で職を得るのでもない限り、ほとんど役にも立たない。
絵が上手くなりたい、けど
じゃあ、上手くなったら何がしたいのと聞かれると
よくわからない。
他人に好意的に注目してもらえる？
確かに、絵が上手くなりたいというのは、外見を磨くのに似ているのかもしれない。
体を鍛えたり服や髪型、コスメにこだわったり。
それを通じて収入が上がるわけでも、
人間的な価値が上がるわけでもないけど、
自分の自尊心が上がって
自信を持って日々の生活に取り組めるようになれるかもしれない。
絵と外見。
年齢が上がるに従って、その価値が相対的に下がっていくのも似てる。
外見より中身。
絵より文章。
いったい、絵の何がいいって言うんだ？
上手い絵でもいい絵でも、個性的な絵でも、
それは結局、競争にさらされるわけで、
義務教育の頃なら、クラスで１番だとか、学年で上位にいれば
それなりに価値があるように感じられるけど、
ネットで全国で世界中で競争するようになると
直感的に考えて１万人に一人、ぐらいの存在にならないと価値が見えてこない。
この数値の根拠は、
pixiv１００万人ユーザーに対して、上位１００人の作家。
一日のコミケ参加者２０万人に対して、上位２０サークル。
そんなもんでしょ？
と感じてしまうのは、自分が他人に対してもそう思っているということなんだろうな。
と自己嫌悪。
それでも何で練習するのか
苦しい訓練がある意味楽しいのかもしれない。
そして、あんまり役に立たないからこそ訓練が楽しいのかもしれない。
描けなくて、歯がゆくて悔しくて、
でもその一方で、
まあ絵だし、大したことはないと思える余裕もあって。
そして苦しんで、ストレスが掛かっているとき、
脳がフル回転している感じがあること、
ストレスのはけ口のように、あれこれ喋りたくなる、アウトプット指向になる。
感情が渦巻くのが、楽しいのかもしれない。
そして、もういやだ、泣きそう。もうなんでもいいや。
って苦しんだ末に、
ふわっとかわいい絵が描けたりして
どうでも良いやーとチビキャラを描いたりすると
やけに生き生きと描けてしまったり。
見て見て、この絵！って。
このときの嬉しさが、苦しさに釣り合ってるのかどうかなんて
わかんないけど、いまだに繰り返しているってことはきっと
絵を描くことが、少しは自分に向いているんだと思う。
好きなのかどうかは分からないけど。